過敏性腸症候群(IBS)

過敏性腸症候群(IBS)とは

過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛や下痢、便秘といったお腹の不快な症状が慢性的に続くにもかかわらず、大腸や小腸に目で確認できる炎症・潰瘍・腫瘍などの器質的な異常が見つからない病気です。

日本人の約10人に1人がIBSであるとされ、特に20〜40代に多いことが特徴です。仕事、学校、通勤、外出時など、生活場面でトイレや腹痛に振り回されやすく、日常生活や社会生活(QOL)に大きな影響が出やすい病気でもあります。

「気のせい」「ストレスのせい」「体質だから仕方ない」と片づけられがちですが、IBSはれっきとした“治療可能な病気”です。

過敏性腸症候群の症状

IBSの腹痛は、 “排便をすると軽くなる”という点が大きな特徴です。

主な症状 内容
腹痛 キリキリ、ズキズキ、張るような痛み
便通異常 下痢、便秘、または両方
お腹の張り ガスが溜まる感覚
ガス症状 おならが多い、腸の動きが気になる

ストレスや緊張、環境の変化、人前に出るシーン(会議・登校・発表など)で症状が悪化することが多く、「心と腸が強く影響し合っている」ことが分かります。

過敏性腸症候群の4つのタイプ

IBSは症状の出方によって4つのタイプに分類されます。自分のタイプを知ることで、治療やセルフケアが明確になります。

タイプ 主な症状 特徴・傾向
下痢型 急激な便意、突然の下痢 男性に多い / 朝や外出前に症状が出やすい
便秘型 コロコロした硬い便、出にくい 女性に多い / お腹の張りが強いことが多い
混合型 下痢と便秘を繰り返す ストレスの影響を受けやすい
ガス型(分類不能型) お腹の張り、ガスが気になる 若い人にも多く、社会生活で苦痛が大きい

受診の目安

以下に当てはまる場合は、医療機関に相談してください

  • 3か月以上、腹痛または便通異常が続く
  • 生活・仕事・学校に支障が出ている
  • 不安やストレスで症状が悪化している

過敏性腸症候群の原因とメカニズム

過敏性腸症候群(IBS)は、「お腹が弱い性格」「気にしすぎ」などと誤解されることが多い病気ですが、実際には腸そのものの働き方や感受性、そして脳から腸へ伝わる信号のバランスが崩れることで起こる“身体の病気”です。

特に重要なのが、ストレスや不安 → 自律神経 → 腸の運動という流れで相互に作用する「脳腸相関」の存在です。ちょっとした緊張でお腹が痛くなったり、旅行や仕事前に下痢しやすくなったりするのは、脳が腸の働きを敏感に変えてしまうためです。

この影響が長く続くと、腸が通常よりも刺激に敏感になり、便通異常や腹痛が慢性的に繰り返されるようになります。

IBSは一つの原因ではなく、複数の要因が重なることで症状が固定化していくことがポイントです。

そのため、「薬だけ」「食事だけ」「ストレス対策だけ」では完全に改善しにくく、総合的なアプローチが必要になります。

要因 説明
脳腸相関の乱れ ストレス・不安 → 自律神経の乱れ → 腸の動きに影響
腸の運動異常 腸が動きすぎ → 下痢 / 動きが鈍い → 便秘
内臓知覚過敏 腸が刺激に過敏になり、通常より痛みを強く感じる
腸内細菌バランスの変化 食生活・ストレスが腸内環境に影響
低FODMAP食への反応 特定糖質(小麦・牛乳・果物など)がガスや痛みを増加させる

ストレス → 腸症状悪化 → その不安でさらにストレスという悪循環が起こりやすいのがIBSの特徴です。

過敏性腸症候群の診断と検査

IBSは、症状の経過と問診をもとに診断します。ただし、他の病気が隠れていないか確認することが重要です。

  • 血液検査
  • 便潜血検査
  • 腹部超音波
  • 大腸内視鏡検査(必要に応じて)

以下の症状がある場合は、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)が推奨されます。

  • 血便が出る
  • 急激な体重減少
  • 発熱が続く
  • 50歳以降に症状発症

当院では、大腸カメラを実施しておりませんので、専門クリニックをご紹介させていただきます。

過敏性腸症候群の治療方法

過敏性腸症候群(IBS)は、薬だけで劇的に改善する病気ではなく、日々の生活リズムやストレスの影響を強く受けるのが特徴です。

そのため、症状を和らげるためには、まず「からだの土台」を整えることが重要です。特に 睡眠・ストレス管理・適度な運動 は、腸と脳のバランスを整える大切なポイントになります。

腸は自律神経(リラックスと緊張を切り替える神経)に大きく影響されているため、生活習慣を整えることが、痛みや下痢・便秘を改善するための“最短ルート”になります。

薬物療法

目的 主な薬
腸の運動を整える 消化管運動調整薬
腸内環境を整える 胃乳酸菌製剤・整腸剤
下痢・便秘を改善 下痢止め / 便秘薬
痛み・過敏性を抑える IBS専門治療薬
ストレス関連に対応 抗不安薬 / 抗うつ薬(必要時のみ)

生活習慣の改善

IBSは薬だけでは良くなりにくい病気です。腸は自律神経と強くつながっているため、生活リズムやストレスの影響をそのまま受けます。

そのため、毎日の過ごし方を整えることが、症状改善の“土台”になります。難しいことを増やす必要はありません。まずは、以下の基本を確実に押さえることが大切です。

  • 睡眠リズムを整える
  • ストレスを抱えこまない
  • 適度な運動(散歩・ヨガなど)

食事の見直し(低FODMAPを中心に)

IBSでは、何を食べるかよりも “何が合わないか” を知ることが重要です。

腸は特定の糖質(FODMAP)に敏感に反応し、ガスの増加・お腹の張り・腹痛を引き起こすことがあります。

そのため、まずは「控える食品」と「負担が少ない食品」を明確にすることが改善への近道です。「全部完璧にやる」は必要ありません。まずは、心当たりのある食品を1つ減らすところからでOKです。

控えた方が良い例:
  • 小麦パン / パスタ
  • 牛乳・ヨーグルト
  • 玉ねぎ / ニンニク
  • りんご / はちみつ
腸にやさしい例:
  • 白米
  • 鶏肉・魚
  • ほうれん草・にんじん
  • バナナ

自分でできるセルフケア

IBSは、ストレス → 腸症状 → さらにストレスという悪循環が起こりやすい病気です。そのため、治療において重要なのは、症状を「ゼロにする」ことではなく、不快な症状とうまく付き合いながら、腸の緊張をゆるめていくことです。

毎日のちょっとした習慣を変えるだけで、腸は驚くほど反応します。特別な道具や努力は必要ありません。まずは無理なくできることから始めましょう。

方法 効果
ゆっくり噛んで食べる 胃腸の負担を減らす
食事量を一定にする 腸の動きを安定させる
深呼吸・ストレッチ 腸の緊張をほぐす
1日10〜20分の散歩 ガス排出・便通促進

ポイントは「症状とうまく付き合う時間を作ること」。
完璧を目指す必要はありません。

過敏性腸症候群のよくあるご質問

IBSは「ストレスが原因の病気」なのでしょうか?

ストレスだけが原因ではありません。ただ、脳と腸は自律神経を介して密接につながっているため、ストレスや不安があると腸の動きや感じ方に影響が出て、症状が悪化しやすくなります。「気のせい」ではなく、複数の要因が重なって起こる病気です。

下痢と便秘を繰り返します。これもIBSの症状ですか?

はい、典型的な症状の一つです。IBSは、下痢型・便秘型・混合型・ガスが気になるタイプなどに分かれます。混合型はストレスや食事内容の影響を受けやすい傾向があります。

大腸カメラや血液検査でIBSと診断できますか?

IBSは検査で異常が見つからない病気です。そのため、診断では「他の病気ではないことを確認する」ことが重要です。特に、血便・体重減少・発熱などがある場合は、必ず医療機関で検査を受けましょう。

市販薬を使っても良くなりません。病院に行くべきですか?

行くべきです。IBSは症状のタイプに応じて使用する薬が異なります。市販薬では逆に悪化する場合もあります。消化器内科では、症状に合わせて薬を調整しながら改善を目指します。

食事で気をつけることはありますか?(低FODMAP食について)

IBSでは、低FODMAP食が症状改善に役立つことがあります。控えたい食品:小麦製品、玉ねぎ、にんにく、牛乳、りんご、はちみつおすすめの食品:白米、にんじん、ほうれん草、鶏肉、魚、バナナ
ただし個人差があるため、「一度に全部避ける」必要はありません。少しずつ試して、自分に合う食品を見つけていきます。

ストレスが影響すると言われました。不安や気分の薬は必要でしょうか?

多くの場合は不要です。ただし、ストレスや不安が強く腸の過敏性を高めている場合は、少量の抗不安薬や抗うつ薬を短期間だけ使うことで症状が軽くなることがあります。「心の病気だから飲む薬」ではなく、腸の敏感な反応を落ち着かせるための薬という位置づけです。

IBSは一生続く病気ですか?

いいえ。症状は十分にコントロールできます。適切な薬、生活習慣の調整、食事の見直しを組み合わせることで、日常生活に支障がない状態に戻すことが可能です。

おならやガスが多いのもIBSですか?

はい、その可能性があります。腸が刺激に敏感になると、少量のガスでも不快に感じやすくなります。腸内環境の調整や低FODMAP食の試行が効果的です。

通勤中や外出先で急にお腹が痛くなるのが怖いです。対策はありますか?

あります。

  • 出かける前に温かい飲み物を飲む
  • 腸の動きを整える薬を頓服として持つ
  • 朝に軽い運動で腸を動かす
  • 行動前にトイレの位置を確認しておく

これらの習慣で「不安そのもの」を減らすことができ、症状が落ち着きやすくなります。

サプリやヨーグルトは効果がありますか?

合う人と合わない人がいます。効果を判断する目安は「2〜3週間」。良い変化があれば継続、変化がなければ無理に続ける必要はありません。迷う場合は、医療用の整腸剤の方が効果と安全性が安定しています。

医師からのメッセージ

つらい症状は我慢しなくて大丈夫です

過敏性腸症候群(IBS)は、決して「気のせい」や「性格の問題」ではなく、治療できる病気です。腸の症状は、心と体をつなぐ「脳腸相関」の影響を強く受けており、ストレスや生活リズムの乱れが症状を悪化させることがあります。そのため、薬で症状を抑えるだけではなく、生活習慣の見直しや、食事の調整、ストレスケアを組み合わせることが、改善への近道となります。

一度で症状をなくそうとする必要はありません。大切なのは、自分に合ったケアを少しずつ積み重ねることです。腸はゆっくりと変わりますが、確実に応えてくれます。焦らず、長く続けられる方法で、ご自身の体と向き合っていきましょう。あなたの毎日が、今より少しでも楽になるようにサポートできます。

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