胃もたれとは
胃もたれとは、食後に胃が重い・張る・消化が遅いなどの不快感が続く状態を指します。
「食べすぎた」と感じる程度で一時的に治まる場合もありますが、慢性的に続く場合は病気のサインであることもあります。
よく見られる関連症状
- 食後の膨満感・胃の張り
- みぞおちの痛みや不快感
- 食欲不振
- 吐き気・げっぷ
- 口の中が苦い・酸っぱい(胃酸逆流を伴う場合)
「なんとなく胃の調子が悪い」「食後の重さが続く」と感じたら、早めの受診をおすすめします。
すぐに受診すべき胃もたれのサイン
次のような症状を伴う場合は、自己判断せず早めに消化器内科を受診してください。
- 胃もたれが1週間以上続く
- 食欲が低下している
- 体重減少・貧血・黒い便などの全身症状を伴う
- 吐き気・嘔吐・胸やけ・みぞおちの痛みを伴う
- 市販薬を飲んでも改善しない
これらは、胃潰瘍・胃がん・機能性ディスペプシアなどの可能性があります。
胃もたれの主な原因疾患
胃もたれは、単なる食べすぎだけでなく、胃の運動機能低下や胃酸分泌の異常、ストレスなどさまざまな要因で起こります。
代表的な疾患を以下に紹介します。
機能性ディスペプシア(FD)
検査では異常が見つからないのに、胃もたれやみぞおちの不快感が続く病気です。
ストレス・自律神経の乱れ・胃の運動機能低下などが関係します。
20〜40代の女性に多く、慢性的な胃の不調の約半数を占めるといわれています。
慢性胃炎(ピロリ菌感染など)
胃の粘膜に炎症が起こり、胃酸分泌が乱れることで胃もたれや胃痛が生じます。
ピロリ菌感染が原因の場合は、除菌治療で改善が期待できます。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃粘膜が傷つき、潰瘍を形成すると消化機能が低下し、食後のもたれや痛みが現れます。
空腹時や食後に痛むかどうかの違いが診断の手がかりになります。
胃食道逆流症(GERD)
胃酸が食道に逆流し、胸やけ・胃の張り・げっぷが続きます。
夜間や食後に悪化しやすく、放置すると食道炎を起こすこともあります。
胃がん
早期の胃がんでは、胃もたれや食欲低下といった軽い症状から始まることがあります。
症状が続く場合は、早期発見のため胃カメラ検査を受けることが重要です。
胃もたれを引き起こす主な要因
胃もたれは、胃の動きや消化液分泌のバランスが崩れることで起こります。
生活習慣によるもの
胃もたれの原因として最も多いのが、生活習慣の乱れや食事のとり方です。一時的な不調であっても、日常的な食習慣や睡眠リズムが乱れていると、胃の働きが低下し慢性化することがあります。特に以下のような習慣は、胃酸の分泌異常や胃の運動機能低下を引き起こすため注意が必要です。
- 暴飲暴食・早食い・夜食
- 高脂肪・高カロリーの食事
- 冷たい飲み物や炭酸飲料の摂りすぎ
- 過度な飲酒・喫煙
- 不規則な食事時間
- 睡眠不足やストレス
こうした生活習慣が続くと、胃の働きが「常にフル稼働状態」となり、休む暇を失います。結果として、機能性ディスペプシアや慢性胃炎、胃食道逆流症などへ進行するリスクもあります。食事・休息・睡眠のバランスを整えることが、胃の健康を保つ第一歩です。
身体的・加齢によるもの
胃もたれは、生活習慣だけでなく身体の変化や加齢による影響でも起こります。
年齢を重ねるにつれて胃の働きがゆるやかになり、消化に時間がかかるようになります。
また、ピロリ菌感染やストレスによる自律神経の乱れなど、体内のバランス変化も大きく関わります。
- 加齢による胃の運動機能低下
- ピロリ菌感染や胃粘膜萎縮
- 消化酵素の分泌減少
- 自律神経の乱れ(ストレスが多い人に多い)
このような身体的・加齢的要因が重なると、「少し食べただけで満腹」「胃が重い」といった症状が現れやすくなります。
特に中高年の方では、ピロリ菌感染や胃粘膜の萎縮が見逃されがちなため、定期的な胃カメラ検査で早期発見・治療を行うことが重要です。
検査診断と治療
症状の経過、食事内容、服薬歴、ストレス状況などを詳しく伺います。
「いつから」「どんな食後に」起こるかを確認することが大切です。
主な検査
- 胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)
胃粘膜の炎症、潰瘍、腫瘍などを直接確認できます。
同時にピロリ菌検査も行えます。
当院では、経鼻内視鏡や鎮静剤を使った検査にも対応しています。 - 血液検査:炎症反応・貧血・肝機能・ピロリ菌抗体の確認
- 腹部エコー・CT検査:肝臓・胆のう・膵臓など他臓器の異常を確認
- 便潜血検査:消化管出血の有無を確認
当院での治療方針
胃もたれの原因は人それぞれ異なるため、検査結果に基づき症状の背景に合わせたオーダーメイド治療を行います。
薬物療法
胃もたれの治療では、症状の原因や重症度に応じて薬による治療(薬物療法)が行われます。胃酸の分泌を抑えたり、胃の動きを整えたりすることで、胃の負担を軽減し、自然な回復を促します。
また、ピロリ菌感染など根本原因がある場合は、除菌を行うことで再発を防ぐことができます。
- 胃酸分泌抑制薬(PPI・H₂ブロッカー):胃酸を抑えて粘膜を保護します。
- 胃粘膜保護薬:胃の荒れを修復し、炎症を改善します。
- 消化管運動改善薬:胃の動きを整え、消化を助けます。
- 消化酵素薬:消化を促進し、胃への負担を軽減します。
- ピロリ菌除菌療法:感染が確認された場合に実施します。
生活習慣の改善
胃もたれを繰り返す方の多くは、日常生活の中に原因が潜んでいることが少なくありません。
食事の摂り方やストレスの溜め方、睡眠の質などを見直すことで、胃への負担を減らし、再発を防ぐことができます。
薬の効果を持続させるためにも、次のような生活習慣の改善が大切です。
- 食事は腹八分目・ゆっくりよく噛んで
- 脂っこい・冷たい・刺激の強い食べ物を控える
- 食後すぐに横にならない(就寝は食後3時間後が理想)
- ストレスをためない生活習慣を意識する
- 適度な運動と十分な睡眠を確保する
胃腸は「ストレスや疲労に敏感な臓器」です。生活習慣の改善を継続することで、胃の自然な動きを取り戻し、薬に頼らなくても安定した状態を維持できるようになります。特に慢性的な胃もたれでお悩みの方は、毎日の習慣を小さく見直すことから始めてみましょう。
日常生活でできる胃もたれ対策(セルフケア)
胃もたれは、薬や治療だけでなく、日々の過ごし方を少し変えるだけでも改善が期待できる症状です。胃腸をいたわる食事や生活リズムを意識することで、胃の回復を助け、再発しにくい体を整えることができます。次のようなセルフケアを、無理のない範囲で習慣化してみましょう。
- 食事は少量を数回に分けて摂る
- 消化の良い食品(おかゆ・スープ・豆腐・白身魚など)を選ぶ
- 胃腸を冷やさない(冷たい飲み物を控える)
- 食後すぐのコーヒー・アルコールを避ける
- ストレスを感じたら深呼吸や軽い運動でリラックス
胃腸は精神的な影響を強く受ける臓器です。 無理をせず、休息とリラックスの時間を大切にすることで、自然と胃腸のコンディションも整っていきます。 症状が続く場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診し、原因に合った治療と生活改善を組み合わせることが大切です。
医師からのメッセージ
胃もたれでお悩みの方へ
胃もたれは「よくある症状」と軽視されがちですが、胃の働きが落ちているサインの可能性があります。
特に、長期間続く場合は機能性ディスペプシア・慢性胃炎・ピロリ菌感染などが隠れていることも。
「食後に胃が重くて動けない」
「少し食べただけで満腹になる」
「胃薬を飲んでもスッキリしない」
このような症状が続く方は、ぜひ一度当院の消化器内科へご相談ください。
当院では胃カメラによる精密検査と原因に応じた治療で、慢性的な胃もたれの根本改善を目指します。














